錆びないはずのステンレスが錆びているのは寂しいものです。しかし適切なメンテナンスにより、いつまでもステンレス本来の美観を維持することができます。
普通の汚れ・手垢・指紋あとの程度の場合は中性洗剤を住まい用の洗剤(マイペットなど)を含ませた柔らかい布で拭き取ります。綺麗に除去できない場合は、有機溶剤(アルコール、ベンジン、アセトンなど)をスポンジか布に含ませて拭き取ります(ただしカラーステンレスの場合は、水溶性の中性洗剤以外は使用してはならない)。そして、最後によく水洗いをしてから乾かないうちに新しいきれいな布で拭き取ります。水がついたままで放置しておくと錆の原因となります。
油汚れなど落ちにくい汚れの場合は、水溶性の中性洗剤か、アルコールを含ませたスポンジか布で水気を拭き取ってください。水がついたままで放置しておくと錆の原因となります。ステンレス溶清掃薬液を使うときは、周辺部もふかないと色むらが残り見苦しくなります。また、クレンザーをふりかけて大根やリンゴの切れ端でこするという裏技もあるようです。
ビルのタイルや大理石、アルミなどの清掃の際使用した清掃薬液が付着した場合は、必ず水洗いしてから乾いた布で水気を拭き取ってください。水がついたままで放置しとくと錆の原因になります。
表面保護用の付着フィルムによる汚れの場合は、中性洗剤や石鹸水をスポンジや布に含ませて拭き取れば簡単に取れます。取れない場合は、シンナーやベンジンを用います。いずれも、必ず水洗いをしてから乾いた布で水気を拭き取ってください。水がついたままで放置しておくと錆の原因となります。
塩分・鉄粉などによるもらい錆の場合は、中性洗剤や石鹸水をスポンジや布に含ませて拭き取れば簡単に取れます。簡単に取れない場合は炭酸カルシウム(200メッシュ以下)やみがき粉(300メッシュ)、ステンレス溶清掃薬液を用います、いずれも、必ず水洗いしてから乾いた布で水気を拭き取ってください。水がついたままで放置しておくと錆の原因となります。塩分の場合は、耐食性のすぐれているSUS316か塗装ステンレスをつかった製品に取り替えたほうが良いかもしれません。とにかくヘアライン仕上げなど磨き目がある表面の場合は、研磨目にそって平行に動かすようにしてください。鏡面仕上げの場合には汚れがわずかなうちにふくようにしてください。表面の仕上げの再現ができなくなります。
クリヤラッカーが老化または剥離した場合はスポンジまたは布に有機溶剤(テトラフィドロフラン・トリクレン・シンナーなど)などで拭き取り、きれいな水で入念に洗い流してから乾いた布で水気を拭き取ります。水がついたままで放置しておくと錆の原因になります。
このようにさまざまな錆びの原因や汚れに応じた清掃が必要です。あらかじめ部分的に試し吹きして錆びや汚れの落ち具合をみてかた清掃を行ってください。
いけないのは、目のあらいクレンザーやサンドペーパー、ブラシ、たわし・金属製ウールなどの硬い清掃用具でこすることです。かえって汚れ・鉄粉が付着しやすくなり、クロムの酸化が妨げられて錆びの原因となることがあります。鉄剤を研磨した砥石でステンレス材の研磨は行わないこと。鉄粉の付着はもらい錆びの原因になります。また、ブリーチ、ハイターな次亜塩素酸ソーダの漂白剤や清掃溶薬液の塩酸などがステンレスに付着しないように注意して下さい。水がついたままで放置しておくと、水そのものが空気中の酸素とクロムとの結び付きを妨げることや水道水中の塩素そのものが原因で錆びます。