「アルマイト」は、元々は蓚酸法陽極酸化皮膜の商標名です。
アルミニウムは素材のままでも、茎中の酸素と結合したごく薄い(0.01μ)酸化皮膜が作られることによって酸化しにくくなる性質があります。しかし素材のままでは柔らかくて実用に適さないので表面硬度や耐食性・耐摩耗性の強化を目的に、陽極酸化処理を施します。現在は広く陽極酸化処理を目指して「アルマイト」加工と呼ばれます。
アルマイト加工は、硫酸や蓚酸などの電解液の中に、素材のアルミニウムを陽極、鉛板やカーボン板を陰極にして入れて電気を通すことによってアルミニウムの表面に酸化アルミニウムの皮膜(薄さは6〜15μ)を造ります。鍍金(めっき)は地金と違う金属で表面を覆い、またステンレスなどでは合金にすることによって強い酸化皮膜を作りますが、アルマイト加工は地金であるアルミニウムそのものから造られているところが異なります(アルミニウムを合金にするのは強度を高めるため)。
アルマイト加工による皮膜は電子顕微鏡で観察できる程度のごく微細な孔が開いています。その孔に水分を吸収することによって硬く熱にも腐食にも強くすることができます。また、その孔に有機染料が入り込むことによって、木綿や羊毛の繊維を染めるような感じで任意の色に着色することできます。塗装や金属印刷lめっきと異なり、着色部の剥離や脱落がないので耐久に優れた着色ができます。
ヘアライン(細い線状の流れを表面につける)やショットブラスト(粉状の金属で表面をサラにする)など、銀色の素材を活かしたさまざまな表面処理にも適していますが、エッチング処理とアルマイト加工・染色によりデザイン性に富んだ表面加工もできます。